関数プログラミング実践入門が増補改訂です

関数プログラミング実践入門という本を書きました - ぼくのぬまち 出張版 に引き続き,よろしくおねがいします.

なにがどうなったか

基本的にはトピックの追加となります.1章のサンプルを追加したり,Strict(GHC8)がらみの話を追加したり,各非関数型言語関数プログラミングをするにあたって機能や特性などを見てみる章を追加したりといった感じになってます.

逆に言うと,既存トピックに関して大きな変更があるわけではありません.stack使うようにしたりとなります.

経緯と執筆中のアレコレ

2015年10月終わり頃,増補改訂の話が来る.そういうのもあるのか.

執筆自体は新規追加部分については前回とほぼ同じスタイルで行う.既存部分の修正についてはpdf上でイロイロする作業の割合が多かった.

当初予定されていた締め切りが前倒しされてくるという謎現象を目にする.そういうこともあるのね.別の書籍のレビュアしてたり,お仕事のほうも割とビジーになってしまったりと,なかなか苦心しつつ進行していた.

感想

前回エラッタが多かったというのもあり,今回も編集さんには結構負担かけてしまっていたように思う.注意深く確認してくれていたように感じる.

これは今回の感想というより前回からの感想になるかもだが,いくら注意深く取捨選択しても意図通りに伝えることの難しさというものの質が少し違うんだなとの実感があった.意図通りに伝えることが難しいというのは,当然執筆だけではなく開発とかのお仕事でも同じではある.しかし,お仕事のほうでは同僚相手であれお客様相手であれ一度に対する相手が少数であることが多く,従ってどんな知識・背景を持っているかが想定し易い.自然,何をどう伝えると理解してもらえるかの調整が効き易い.対して書籍となると,もちろん想定読者というペルソナはあるにせよ,それにマッチしない人が手にすることも,また,好みが大きく振れてる人が手にとることもある.たとえば,重要ではないと思える部分を削いだものを好む人も,逆に,あえて網羅的に明示するのを好む人も両方いる.「~が書かれていない」と「~がくどい」が同じ項目に対する感想として得られることもある.質が違うというのはこういった意味でのことだ.

最近では個々の関数型言語はそれぞれにメジャーになってきており,採用事例も書籍も勉強会も増えてきている.しかし,Haskellの勉強会における自己紹介等であっても「仕事では~を使っています」に関数型言語が入る比率は微増していると感じはするものの多くはない.特にこの日本だと,「(その言語を)自分たちのサービス・製品で使っている」だけではなく「みんなが知ってる会社から(その言語での)仕事が下りてくる」ということに意味がありそうな気がするので,難しいだろうけどそういうケースがよく見られるレベルまで普及すればいいかなとぼんやり思ったりしている.

ところで,今週は ICFP 2016 があるので,関数プログラミングの深淵に興味がある人は覗いてみるのがよい.深淵もまたあなたを覗いているかもしれないが.